キャンプ用品をDIYしていると必ず使うのが木材。
木材は加工がしやすいだけでは無く、鉄との相性もよく、デザイン的にも温かみがあり、それでいて無骨なスタイルを楽しむ事ができます。
そんな素晴らしい木材DIYですが、毎回コーティングで悩みます。
やれた感じを出す為に、BRIWAXやワトコオイルを使うのが主流ですが、水のかかるような場所に弱かったりしますし、家具をメインとしているので、テーブルや木食器などにはちょっと抵抗があります。
色々と調べていくうちに蜜蝋ワックスなるものがある事を知りました。
そして、安心・安全だけでは無く、革製品や唇や手の保湿用クリームとしても使えてしまう万能ワックスだったのです。
蜜蝋とは
蜜蝋は、蜂の巣からはちみつを取った後に残るもので、蜂の巣ですね。
昔から口紅や保湿クリーム、医療用の軟膏、キャンドルなどに使われていますが、蜜蝋の持つ抗菌・抗炎症作用から、やけど用の治療薬としても使われていたそうです。
蜜蝋には2種類あり、色で見分ける事ができます。
黄色い蜜蝋は、採取したものから不純物を取り除いた天然に近い状態のもの。
白いものは、漂白などを行い成分を安定させたものです。
1歳未満の赤ちゃんは腸内環境が整っていない事から、はちみつを摂取する事がタブーとされていますが、蜜蝋の中にもボツリヌス菌が含まれる可能性がある事から、乳幼児がいる場合は使用方法に注意が必用です。
蜜蝋ワックスとは
上記の蜜蝋と植物油を熱してよく混ぜたものを、冷やし固めたものが蜜蝋ワックスとなります。
商品によって使っている油が異なったり、数種類の油をブレンドしているものがあります。
元々、木材の艶出し虫除けで昔から使われてきた蜜蝋ですので、このまま木の保護材としても使えますが、硬すぎますし、国産蜜蝋はとても希少価値が高いので油をブレンドする事が一般的です。
木材用の塗料はたくさん発売されていますが、蜜蝋ワックスの良い点は、そのものが安全である点につきると思います。
蜜蝋も油も、口に入れても問題のないものですからね。
テーブルなんかだと、こぼした食べ物をつまんで食べる事もあるでしょうが、科学成分が入っていないワックスなので安心!
木のスプーンや食器などにも使えます。
蜜蝋ワックスを塗る事で、
- 木に深みのある光沢がでる
- 手アカなどが付きにくくなる
- 木の呼吸を遮らずに水分が吸収しにくくなる
のようなメリットが得られます。
蜜蝋ワックスの作り方
まず、必用なもの
- 蜜蝋
- 植物油
- 測り
- 容器
蜜蝋はロウですので、蜜蝋を溶かす時に使った容器は、洗剤等であらってもなかなか取る事ができません。
100均等で適当なものを買っておいた方がいいです。
今回は、国産の蜜蝋と、比較の為植物油3種類を入手しました。
植物油でも「乾性」「半乾性」「不乾性」といった種類があり、
してしまうのでご注意を。
測る
今回用意したケースの容量が70mlほどでしたので、蜜蝋10g:植物油58gに計量しました。
約15%の蜜蝋を配合した事になります。
湯煎
蜜蝋の融点(溶ける温度)は65度程度です。直接火にかけるのでは無く、湯煎等で温めてあげます。
作業時間短縮の為、できるだけ細かい状態にしておいた方が、早く溶けてくれます。
今回使用した油は実験の為「エゴマ油」「アマニ油」「クルミ油」の3種類。
使用する植物油によっては酸化しやすい場合があるので、75度以上に加熱しないように注意しましょう。
5分ほどかき混ぜていると、どんどんと蜜蝋がとけてなくなっていきます。
粒が全て無くなったら、熱いうちに容器に移し、常温で熱を冷ませば完成です。
冷めていく過程で、表面がだんだんと白く濁っていきます。
表面が固まっているように見えても、中心部分は熱いので、完全に固まるまで2時間程度は放置しておきましょう。
この時、膨張・縮小等が発生するので、ケースのキャップは開けておきます。
蜜蝋ワックスの使い方
蜜蝋ワックスは、比較的水に強い性質がありますが、常時水がかかるような場所の使用には適さないので、基本的に屋内のものに使う事をおすすめします。
やすりがけ
DIYなどで制作した家具に使う場合は、必ず塗る部分にサンドペーパー等でやすりがけをしてあげます。
この一手間をかけるかどうかで、出来栄えに大きな差がでます。
ヤスリがけは、番手の小さいものから、大きいものに何回にも分けて行うのがコツ。
80番→120番→240番のようなイメージです。
この間隔を大きく取りすぎると、前の番手でついた傷が消えない等、余計に時間がかかってしまいます。
ゴミ取り
ヤスリがけを行ったら、固く絞ったウエス等で、木くずやゴミを取り除きます。
この時に木材が水分を吸収してしまうので、拭き取った後は、数十分、風通しの良い場所に置いて乾燥させましょう。
蜜蝋ワックスを塗る
蜜蝋ワックスには植物油が含まれているので、木に浸透しやすい性質を持ちます。
その為、1箇所に多く塗ると、塗りムラができてしまうので、
のがコツです。
そして、塗った後綺麗なウエスで表面に浮いているワックスを拭き取ります。
拭き取った直後はべとつきが残る場合がありますが、1日程度寝かせると、そのベタつきも収まりサラサラとした手触りに変わります。
油の小ネタ
亜麻仁油(アマニ)
ワトコオイルにも使われている油で乾性油に分類される。
乾燥すると皮膜ができ、水に強い特性がある反面、乾燥までの時間が長い
胡桃油(クルミ)
木材に浸透すると樹脂化し、木材の強度アップと耐水性の向上効果がある乾性油。
値段が高い。
荏胡麻油(エゴマ)
しそ系の油。酸化しやすい為、75度以上に熱するのは良くない。
3種類の油比較
さて、今回「エゴマ油」「アマニ油」「クルミ油」の3種類で蜜蝋ワックスを作りました(蜜蝋:油の分量は同じ)。
作っている段階から、匂いや固まり方、固まるまでの時間にかなり差が出ていたので、実際木材で塗り比べるのが楽しみでした。
匂い
エゴマ油だけは、ちょっと使いたくないなという印象。
ごま油とは異なるので、香ばしい匂いではありませんが、油っぽい匂いがかなりあります。
これを木材に塗って、匂いが消える感は全くありません。
逆にアマニ油、クルミ油はほのかに優しい香りがしますが、ずうっと嗅いでいても、嫌な感じはなりません。
手触り
これも何故かエゴマ油だけは、半練り状で、固くなったハンドクリームくらい。
他の2つはしっかりと固まっています。
エゴマ油はざらつきも気になりました。
色
写真左から、エゴマ油、クルミ油、アマニ油になります。
木はまだワックスは塗っていない無垢の状態です。
ケースに入った状態でワックスの色がけっこう違うのが分かります。
3つのワックスを塗ってみました。
ワックス自体の色味が異なるので、顕著にでるかと思ったら、全く分かりません。
耐水性
まずはワックスを塗っていない無垢の状態の木に水を垂らしてみました。
少しも弾く事無く、全て浸透していきます。
次に各オイルの耐水性ですが、一番耐水性が高いのは、アマニ油、次にエゴマ油でした。
直後の手触り
耐水性能と反対になるのは当然ですが、塗った直後に一番サラサラとしているのが、クルミオイル。
アマニとエゴマは、べとつきはシませんが、しっとりとした手触りです。
その後30分ほど置いてみると、クルミとアマニの手触りは同じような状態になりました。
蜜蝋ワックス用オイルのまとめ
匂いなどからエゴマ油の使用は無さそうです。
アマニは耐水性能が一番期待できるオイルですが、クルミは塗った直後にサラサラとするので、木に染み込んでくれています。
少々高いオイルですが、クルミかアマニのいずれかがオススメと言えそうです。
しかし、作り方こそ簡単ですが、溶かした蜜蝋がどこかにはねたりすると、後始末がかなり大変。
また、高いオイルの入手と国産蜜蝋を探すのに結構時間がかかってしまった。。
キャンプ用品でも、斧とかオピネルナイフ、テーブル、木のお皿など色々使えそうですし、革製品のメンテナンスにも使えるので、1つもっておくと何かと便利な蜜蝋ワックスだと思います♪